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ITIL Foundation シラバス V5.5 の要約
ITIL FoundationのシラバスはAXELOS社のWebサイトからダウンロードできます。
現在の最新版は、シラバスV5.5 になります。
11ページほどのドキュメントですが、内容をここに要約しておきます。詳細は原文を参照ください。
ITILファンデーション資格の目的は、ITILの用語・体系・基本概念を把握し、
サービスマネジメントのためのプラクティスの基本原理を理解しているかどうかを確認することにあります。
シラバスの位置づけ
ITILでは、ITサービスマネジメントを以下の文書で手引きしています。
- サービスストラテジ
- サービスデザイン
- サービストランジション
- サービスオペレーション
- 継続的サービス改善
- イントロダクション
- 用語集
ITILファンデーションのシラバスは、これらITサービスマネジメントについての理解と技量を向上させることを
目的とした教育コースや教材を開発/利用するための手引きになります。
シラバスは、参照性、拡張性、保守性を考慮して構成されています。
教育コースや教材を開発する際は、自由な裁量により、各ユニットを十分に網羅し、最も適切と考える方法で組み立てて編成してください。
シラバス上のユニットの順序にそのまま従ったコースを組み立てないことを強くお勧めします。
シラバスは、必要に応じて付加価値を付けることができるよう、柔軟に構成されています。
シラバスは、10個のユニットで構成されています。
10個目は、前述の9個についての模擬試験を用意しなさいという構成になります。
推奨する学習時間は、模擬試験の2時間を含めてトータル18時間を想定しています。※このことは、「18時間つまり2日から3日間も学習すれば、ITIL Foundation試験に受かります」ということです。
各ユニットの内容
シラバスの本題です。ユニットごとに学習内容が列挙され、推奨される学習時間が提示されています。
ユニット | 学習内容 | 学習時間 |
1 |
プラクティスとしてのサービスマネジメント |
サービスを定義でき、プラクティスとしてのサービスマネジメントの概念を理解し、説明できること。
01-1 | 一般的なベストプラクティスとは(SS 2.1.7, Fig 2.3) |
01-2 | ITIL が成功する理由(SS 1.4) |
01-3 | サービスとは(SS 2.1.1) |
01-4 | 内部顧客と外部顧客とは(SS 3.2.1.2) |
01-5 | 内部サービスと外部サービスとは(SS 3.2.2.3) |
01-6 | サービスマネジメントとは(SS 2.1.2) |
01-7 | ITサービスマネジメントとは(SS 2.1.3) |
01-8 | サービスマネジメントでの利害関係者とは(SS 2.1.5) |
01-9 | プロセスと機能の定義(SS 2.2.2, 2.2.3.1) |
01-10 | プロセスモデルとプロセス特性(SS 2.2.2, Fig 2.5) |
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1時間30分 |
2 |
サービスライフサイクル |
サービスライフサイクルの価値と各プロセスがどのように統合されるかを理解し、
ライフサイクルでの各フェーズの目的とビジネス価値を説明できること。
02-1 | -- removed -- |
02-2 | ITILサービスライフサイクルの構造(SS 1. Introduction up to 1.1, SS 1.2, Fig 1.1) |
02-3 | サービスストラテジのゴールと目的、スコープ(SS 1.1.1, 1.1.2) |
02-4 | サービスストラテジがビジネスに与える価値(SS 1.1.4) |
02-5 | サービスデザインのゴールと目的、スコープ(SD 1.1.1, 1.1.2) |
02-6 | サービスデザインがビジネスに与える価値(SD 1.1.4) |
02-7 | サービストランジションのゴールと目的、スコープ(ST 1.1.1, 1.1.2) |
02-8 | サービストランジションがビジネスに与える価値(ST 1.1.4) |
02-9 | サービスオペレーションのゴールと目的、スコープ(SO 1.1.1, 1.1.2) |
02-10 | サービスオペレーションがビジネスに与える価値(SO 1.1.4) |
02-11 | 継続的サービス改善のゴールと目的、スコープ(CSI 1.1.1, 1.1.2) |
02-12 | 継続的サービス改善がビジネスに与える価値(CSI 1.1.4) |
|
1時間 |
3 |
概念と定義 |
主要な用語を定義でき、サービスマネジメントの主要な概念を説明できること。
03-1 | 有用性、保証(SS 2.1.6) |
03-2 | 資産、リソース、能力(SS 2.2.1) |
03-3 | サービスポートフォリオ(SS 4.2.4.1, Fig 4.14) |
03-4 | サービスカタログ(2つの視点と3つの視点)(SD 4.2.4.5, Fig. 4.4, Fig. 4.5) |
03-5 | ガバナンス(SS 2.3.1) |
03-6 | ビジネスケース(SS 3.6.1.1) |
03-7 | リスクマネジメント(SS 5.6.5.1, 5.6.5.2) |
03-8 | サービスプロバイダ(SS 2.1.4) |
03-9 | -- removed -- |
03-10 | サプライヤ(SS 2.1.5) |
03-11 | サービスレベルアグリーメント(SLA)(SD 4.3.4) |
03-12 | オペレーショナルレベルアグリーメント(OLA) (SD 4.3.4) |
03-13 | 契約(SD 4.8.4.2) |
03-14 | サービスデザインパッケージ(SD Appendix A) |
03-15 | 可用性(SD 4.4.4.3) |
03-16 | サービス知識管理システム(SKMS)(ST 4.7.4.3) |
03-17 | 構成アイテム(CI)(ST 4.3.4.2) |
03-18 | 構成管理システム(ST 4.3.4.3) |
03-19 | 確定版メディアライブラリ(DML)(ST 4.3.4.4) |
03-20 | サービスの変更(ST 4.2.4.4) |
03-21 | 変更の種類(通常、標準、緊急)(ST 4.2.4.3, 4.2.4.7, 4.2.5.11) |
03-22 | -- removed -- |
03-23 | -- removed -- |
03-24 | イベント(SO 4.1 1st para) |
03-25 | アラート(Glossary) |
03-26 | インシデント(SO 4.2 1st para) |
03-27 | インパクト、緊急度、優先度(SO 4.2.5.4) |
03-28 | サービス要求(SO 4.3 1st para) |
03-29 | 問題(SO 4.4 1st para) |
03-30 | ワークアラウンド(SO 4.4.5.6) |
03-31 | 既知のエラー(SO 4.4.5.7) |
03-32 | 既知のエラーデータベース(KEDB)(SO 4.4.7.2) |
03-33 | サービスオペレーションにおけるコミュニケーションの役割(SO 3.6) |
03-34 | -- removed -- |
03-35 | リリースポリシー(ST 4.1.4.2) |
03-36 | サービスの種類(SS 3.2.2.4, Tab 3.5) |
03-37 | 変更要求(ST 4.2.4.6) |
03-38 | CSIレジスタ(CSI 3.4) |
03-39 | アウトカム(SS 2.1.1) |
03-40 | ビジネス活動パターン(SS 4.4.5.2) |
03-41 | 顧客とユーザー(SS 2.1.5) |
03-42 | デミングサイクル(CSI 3.8, Fig 2.8) |
|
※他のユニットに含める |
4 |
原理とモデル |
サービスマネジメントの原理とモデルを理解して説明できること。拮抗する力のバランスを説明できること。
サービスストラテジ |
04-1 |
-- removed -- |
04-2 |
サービスを通しての価値創出(SS 3.2.3, 3.2.3.1,Fig 3.6, Fig 3.7) |
サービスデザイン |
04-3 |
人、プロセス、プロダクト、提携団体の重要性(SD 3.1.5, Fig 3.3) |
04-4 |
サービスデザインでの主要な5つの側面の理解(SD 3.1.1)
□新規または変更のサービスソリューション
□情報システムの管理とツール
□アーキテクチャの技術と管理
□プロセス要求
□計量方法とメトリクス |
04-5 |
-- removed -- |
サービストランジション |
04-6 |
-- removed -- |
サービスオペレーション |
04-7 |
-- removed -- |
継続的サービス改善 |
04-8 |
-- removed -- |
04-9 |
継続的サービス改善のアプローチ(CSI 3.1, CSI 3.1.1, Fig 3.1) |
04-10 |
継続的サービス改善のための計量の役割と、以下の主な要素
□重要成功要因(CSF)と重要業績評価指標(KPI)の関係(CSI 5.5.1)
□ベースライン(CSI 3.9.1)
□計量の種類(技術計量、プロセス計量、サービス計量)(CSI 5.5) |
|
1時間30分 |
5 |
プロセス |
サービスライフサイクルに各プロセスがどのように寄与しているかを理解すること。
サービスストラテジ |
05-2 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープを説明できること。 |
05-21 |
■サービスポートフォリオ管理(SS 4.2.1, 4.2.2 )
□サービスポートフォリオ(SS 4.2.4.1, Fig 4.14) |
05-22 |
■ITサービス財務管理(SS 4.3.1, 4.3.2)
□ビジネスケース(SS 3.6.1.1) |
05-23 |
■事業関係管理(SS 4.5.1, 4.5.2, Tab 4.10) |
サービスデザイン |
05-3 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープ、基本概念、プロセスの活動を説明できること。 |
05-31 |
■サービスレベル管理(SLM)(SD 4.3.1. 4.3.2, 4.3.6.4)
□サービスベースのSLA(SD 4.3.5.1)
□複数レベルのSLA(SD 4.3.5.1, Fig 4.7)
□サービスレベル要求(SLR)(SD 4.3.5.2)
□SLAMチャートのSLAモニタリング(SD 4.3.5.5, CSI Fig 4.4)
□サービスレビュー(SD 4.3.5.6)
□サービス改善計画(SIP)(SD 4.3.6.3)
□SLMとBRMの関係(SD 4.3.2.1) |
05-4 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープを説明できること。 |
05-41 |
■サービスカタログ管理(SD 4.2.1, 4.2.2) |
05-42 |
■可用性管理(SD 4.4.1, 4.4.2)
□サービス可用性(SD 4.4.4.2)
□コンポーネント可用性(SD 4.4.4.2)
□信頼性(Realiability)(SD 4.4.4.3)
□保守性(Maintainability)(SD 4.4.4.3)
□サービス性(Serviceability)(SD 4.4.4.3)
□重要事業機能(VBF)(SD 4.4.4.3) |
05-43 |
■情報セキュリティ管理(ISM)(SD 4.7.1, 4.7.2)
□情報セキュリティポリシー |
05-44 |
■サプライヤ管理(SD 4.8.1, 4.8.2)
□サプライヤの分類(SD 4.8.5.3, Fig 4.28) |
05-45 |
■キャパシティ管理(SD 4.5.1, 4.5.2)
□キャパシティ計画(SD 4.5.6.3)
□事業キャパシティ管理(SD 4.5.4.3)
□サービスキャパシティ管理(SD 4.5.4.3)
□コンポーネントキャパシティ管理(SD 4.5.4.3) |
05-46 |
■ITサービス継続性管理(SD 4.6.1, 4.6.2)
□ビジネスインパクト分析(BIA)の目的(SD 4.6.5.2)
□リスクアセスメント(SD 4.6.5.2) |
05-47 |
■設計コーディネート(SD 4.1.1, 4.1.2) |
サービストラジジョン |
05-5 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープ、基本概念、プロセスの活動を説明できること。 |
05-51 |
■変更管理 (ST 4.2.1, 4.2.2, 4.2.4.6, 4.2.6.4, 4.2.6.5)
□変更要求の種類(ST 4.2.4.3)
□変更モデル(ST 4.2.4.5)
□修正計画(ST 4.2.4.8)
□変更委員会/緊急変更委員会(ST 4.2.5.10, 4.2.5.11)
□通常変更のライフサイクル(ST 4.2.5, Fig 4.2)
|
05-6 |
サービストラジジョンの以下の活動について、ゴール、目的、スコープを説明できること |
05-61 |
■リリース/展開管理(ST 4.4.1, 4.4.2)
□リリースと展開の4つのフェーズ(ST 4.4.5, Fig 4.23) |
05-62 |
■知識管理(ST 4.7.1, 4.7.2)
□DIKW(データ・情報・知識・知恵)とサービス知識管理システム(SKMS)(ST 4.7.4.2, 4.7.4.3, Fig 4.36) |
05-63 |
■サービス資産/構成管理 (SACM) (ST 4.3.1, 4.3.2) |
05-64 |
■移行計画とサポート(ST 4.1.1, 4.1.2) |
サービスオペレーション |
05-7 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープ、基本概念、プロセスの活動を説明できること。 |
05-71 |
■インシデント管理(SO 4.2.1, 4.2.2, 4.2.4.2, 4.2.5, 4.2.6.4) |
05-72 |
■問題管理(SO 4.4.1, 4.4.2, 4.4.4.2, 4.4.5, 4.4.6.4) |
05-8 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープを説明できること。 |
05-81 |
■イベント管理(SO 4.1.1, 4.1.2) |
05-82 |
■要求実現(SO 4.3.1, 4.3.2) |
05-83 |
■アクセス管理(SO 4.5.1, 4.5.2) |
継続的サービス改善 |
05-9 |
以下の活動について、ゴール、目的、スコープを説明できること。 |
05-91 |
■7 つのステップの改善プロセス(CSI 3.9.3.1, 4.1, 4.1.1, 4.1.2, Fig 3.4) |
|
10時間45分 |
6 |
機能 |
4つの機能について説明できること。
06-1 |
以下の機能について、役割、目的、組織構造を説明できること。
■サービスデスク機能(SO 6.3, 6.3.1, 6.3.2, 6.3.3, Figs 6.2, 6.3, 6.4) |
06-2 |
以下の機能について、役割、目的を説明できること。
■技術管理機能(SO 6.4.1, 6.4.2)
■アプリケーション管理機能(SO 6.6.1, 6.6.2)
■IT運用管理機能(IT運用コントロール管理、施設管理)(SO 6.5.1, 6.5.2) |
|
1時間 |
7 |
役割 |
サービスマネジメントの主要な役割と責務を説明できること。
07-1 |
以下の役割と責務が説明できること
■プロセスオーナー(SD 6.3.2)
■プロセスマネージャ(SD 6.3.2)
■プロセス実行者(SD 6.3.4) |
07-2 |
以下を認識し、組織構造の決定においてその役割を説明できること。
■RACIモデル(responsible, accountable, consulted, informed)(SD 3.7.4.1, tab 3.2) |
|
45分 |
8 |
技術とアーキテクチャ |
以下を理解すること。
08-1 |
-- removed -- |
08-2 |
サービス自動化によるサービスマネジメントプロセスの統合支援(SS 7.1) |
|
※他のユニットに含める |
9 |
能力向上とトレーニング |
以下を説明できること。
09-1 | ITサービスマネジメントのための能力向上とトレーニング |
09-2 | 能力向上とトレーニングの枠組み |
09-3 | トレーニング |
|
15分 |
10 |
模擬試験 |
ファンデーション模擬試験に合格すること。
10-1 | ファンデーション模擬試験を1 回は受けること |
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2時間 |
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